食べるシルクで
生活習慣病対策

シルクの成分のひとつであるフィブロイン(シルクタンパク)には私たちの体に効果のある様々な成分が含まれています。現在、シルクを食べることで、糖尿病などの生活習慣病に有効であるという研究が注目されています。

良質なタンパク源をシルクパウダーで摂取

これまでも食べられていたカイコのタンパク質

昔から人々はシルクを生みだすカイコを食べていました。古来、日本でも糸をとった後のカイコのサナギを食べ、今も一部の地方では甘露煮や佃煮などに調理されて食卓に上っています。また海外の多くの国で、現在もカイコの仲間の幼虫やサナギが体に良い良質のタンパク源として食用されています。
基本、家蚕のカイコは桑の葉しか食べません。そのエサである桑は昔から漢方薬のひとつに数えられている植物です。つまりカイコには桑と共通の効能があると考えられるのです。そのため、カイコの幼虫のフンもまた、乾燥後、葉緑素を抽出して活用ができ、漢方薬などに用いられてきました。

飲んだり食べたり、効率的に摂取できるシルクパウダー

「どうやってシルクを食べるの?」、その答えはシルクパウダーです。シルクパウダーとは、近年の技術の発達により実現したシルクの有効成分を粉末にしたものです。カプセルや飲み物にして飲む、うどんやクッキーの生地に混ぜるなど様々な方法で摂取ができます。

もともとシルクは牛乳や卵にくらべても必須アミノ酸を豊富に持っています。さらに脂肪や炭水化物が少ないため現代人の食生活に合った栄養食になるのでは、と考えられてきました。シルクが持つアミノ酸の成分は、生活習慣病などのさまざまな症状への効果があるといわれています。具体的にシルクの持つ複数のアミノ酸はどんな効果が期待できるのか、ご紹介します。

さまざまな効果が期待できるシルクのアミノ酸

メタボリックシンドローム、糖尿病、認知症など

血中コレステロールを低下させて、有害な物質を体から排泄する解毒作用があるグリシンとセリン。このことからコレステロールが気になるメタボリックシンドロームなどに効果があると言われています。
セリシンは体の内側を酸化して老化させる原因の「活性酵素」を抑える抗酸化作用があります。つまり細胞の老化を抑制することから、ガン細胞も抑制できるのではないかと期待されています。またセリシンとフィブロインはコレステロールの上昇を抑制し、糖尿病において血清コレステロールなどの脂質成分を低下させるため、糖尿病患者の食事コントロールや合併症の発症の遅延などに対して効果が期待されています。
アラニンは素早くエネルギー源に転換してアルコール代謝を促進する働きを持っているといわれ、二日酔い予防に効果的だと考えられています。
神経伝達物質(ドーパ)に変化するチロシンは、認知症やパーキンソン病の予防効果があるとの研究報告が発表されています。
運動不足やアルコールや不規則な生活をしているうちに、メタボリックシンドロームや糖尿病は大きな症状もなくひそかに進行していきます。シルクの成分を補助食品として生活に取り入れながら、規則正しい生活や食生活に配慮することで、より生活習慣病を遠ざけることができると期待されています。

シルクのアミノ酸と作用

  • グリシン・セリン解毒作用

  • アラニンアルコール分解

  • チロシン神経伝達物質

  • セリシン・
    フィブロイン
    コレステロールの
    上昇を抑制

※ごく一部をご紹介しています。

「着る」から「食べる」そして…シルクの新たな展開

長く戦国時代が続いた古代中国では、王族たちはシルクで作られた衣服を着ていると怪我をした時も膿んだり腫れたりという症状が軽いことに気がついていました。シルクは美しく着飾るだけでなく、身を守ってくれる繊維だと知っていたのです。現代の私たちは、シルクの構造や成分を化学的に解明することで、シルクの魅力はなめらかな手触りと着心地だけでなく冷えや乾燥対策に効果があるという長所を発見しました。さらに今回、食べることで生活習慣病に効果がある可能性も発見したのです。
今後も、化粧品、農業、医療、インテリアなどの様々な場面でシルクを活用するための研究が進んでいくでしょう。シルクがもっと身近になる時代はすぐそこまできています。

参考文献
著/中山れいこ「絹大好き 快適・健康・きれい」本の泉社 143p
著/平林潔「シルクを食べる 絹の再発見」高輪出版社 173p